国産の仮想通貨だとMonacoin(モナコイン)などを連想される方が多いかと思います。

そんな中、2017年に日本のメガバンクが仮想通貨を発行する計画を続々と発表しました。

そのうちの三菱東京UFJ銀行が開発・社内試験運用中「MUFGコイン」についてご紹介します。

三菱東京 UFJ 銀行独自の仮想通貨・MUFG コイン

MUFG コインの発行は顧客の利便性を向上させるという目的のために行われる、メガバンクによる世界初の仮想通貨プロジェクトです。

現在はその導入に向けて、実験として今年5月から行内で運用されていて、2018年の春に一般に向けて発行される予定です。

行員向けの試験運用ではコインを使った国内送金を24時間無料にしたり、スマートフォンをかざすだけで社内食堂や行内のコンビニなどの支払いができるようになっていて、同様のことが一般にも可能になると期待されています。メガバンクが発行するこのコイン、一体どのようなものなのでしょうか。

MUFG コインの特徴

MUFG コインは他の仮想通貨と大きく異なる点が二つあります。

発行元が存在する

ビットコインをはじめとした通常の仮想通貨には発行元が存在しません。そのため、発行元の信用ではなく、その通貨自身への信用の上に存在しています。一方で MUFG コインは発行元が決まっているので、コインの価値そのものは銀行の信用の上に存在する、といえるのです。

1円=1MUFGコイン

MUFGコインの最大の特徴はその交換比率が固定の「1円=1 MUFG コイン」であることです。他の仮想通貨では交換比率が変動しており、それが仮想通貨の投機的な側面だったわけです。しかし MUFG コインでは比率が固定されています。従ってこちらには投機的な側面はないのです。

MUFG コインを導入するメリット

このような特徴を持つ MUFG コインですが、なぜこれを導入しようとしているのでしょうか。まず銀行側がMUFG コインを導入する目的としてはなんといってもコストカットが第一に上がるようです。

ブロックチェーンを用いたやりとりは巨大なコンピュータを使って中央で管理する必要がありませんし、通常の貨幣と違って製造や輸送、保管のコストもかかりません。これには利用者側としてももちろんメリットがあって、それは振り込みや外貨両替の手数料などが大幅に安く設定される予定だということです。

利用者への恩恵はそれだけではありません。まず交換比率が固定されているということですから、その価値はもちろん安定しています。

コインを用いた支払いは感覚的に「Suica」のような電子マネーを利用しているのと変わらないでしょう。

そしてそれ以上に電子マネーと違っていつでも日本円に換金でき、利用者同士でコインをやりとりすることもできます。さらに実際に支払いをするのもスマートフォンのアプリさえあればよく、専用の端末やカードは必要ありません。スマートフォンをかざせば現金を引き出せるATMを2018年の春から配備することも検討されているようです。

まとめ

銀行が発行する仮想通貨は銀行への信頼によって価値が決まります。その点で、日本円への信頼よりも劣ってしまうのは懸念されることではあります。

しかしこのコインを保有する海外からの旅行者にしてみれば、日本円と固定比率で交換できるということは為替手数料が実質無料であることと同じなので非常にありがたいサービスでしょう。さらに海外ではキャッシュレス化が進んでおり、このような仮想通貨も比較的簡単に受け入れられると考えられます。

日本はまだ現金主流ですが、こちらでも電子マネーやネット決済が普及してきておりキャッシュレス化の流れは確実にあります。仮想通貨の導入は、コストカットの面を含めても自然なことなのではないでしょうか。

メガバンクの発行する仮想通貨が信頼できるものとして定着していけば、よりシンプルで快適な生活が近づいてくるかもしれません。