ビットコインとは異なり、価値が安定するように設計されたステーブルコイン。暗号資産(仮想通貨)の課題であった、価格変動の大きさを解決するといったことから、現在注目を集めいている暗号資産(仮想通貨)になります。
この記事では、価値が安定するように設計されたステーブルコインについて、基本情報や種類・特徴、そして今後の将来性を初心者に向けて分かりやすく紹介します。
ステーブルコインを
大まかに説明すると….
- 価値が安定するように設計された暗号資産(仮想通貨)である。
- ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)にはない魅力がある。
- ステーブルコインは、大きく3つの種類に分けられる。
- 日本円に連動しているステーブルコインもある。
- ステーブルコインは、資産の防衛に向いている。
目次
ステーブルコインとは?
ステーブルコインは、価格が安定するように設計された暗号資産(仮想通貨)です。ステーブル(Stable)とは「安定している」「固定されている」といった意味で「安定した暗号資産(仮想通貨)」という意味になります。
これまで暗号資産(仮想通貨)と言えば、ビットコインやイーサリアムをはじめとする、価格変動の大きな暗号資産(仮想通貨)が主流でしたが、その価格変動が大きいという課題を解決してくれたのが、ステーブルコインとなります。
価格変動の大きさから、実用的ではないと言われていた暗号資産(仮想通貨)ですが、ステーブルコインの登場により、その見方が変わり、注目度が増しています。
その注目が増したニュースとして、2019年6月にFacebookから発表された、Facebook独自暗号資産(仮想通貨)の「Libra(リブラ)」です。このニュースをきっかけとして、世界中でステーブルコインの認知度が増し、2019年10月に行われたG7(財務大臣・中央銀行総裁会議)やG20(財務大臣・中央銀行総裁会議)でも議論されました。
そんなステーブルコインの価格が安定しているのは、米ドルや日本円などの比較的に価格の安定している通貨へ連動する形で設計されているからになります。
ここからは、そんなステーブルコインの種類について見ていきましょう。
ステーブルコインの種類
ステーブルコインは、以下のように大きく3つの種類に分けられます。
- 法定通貨担保型
- 仮想通貨担保型
- 無担保型
それぞれ一つずつ見ていきましょう。
法定通貨担保型
まず一つ目は「法定通貨担保型」です。
法定通貨担保型は、みなさんお持ちの日本円や米ドルなどを担保として、連動するよう設計された仕組みになります。現在市場に流通している、ほとんどのステーブルコインが、この法定通貨担保型に該当します。
法定通貨は、中央銀行が発行し、国や政府が管理しているということで、価値が安定しやすいといったメリットがあります。
例えば、有名なステーブルコインとして「テザー(USDT)」や「USDC」などがあります。こられは米ドルに連動する形で設計されていて、それぞれ「1ドル≒1コイン」となっています。
仮想通貨担保型
二つ目は「仮想通貨担保型」です。
仮想通貨担保型は、こちらも法定通貨担保型と同様に、暗号資産(仮想通貨)に連動するよう設計された仕組みとなっています。
法定通貨担保型と大きく異なる点は、中央に管理者がいないことです。いわゆる非中央集権的な管理となります。このように暗号資産(仮想通貨)の性質を保てる一方、価格が安定していない暗号資産(仮想通貨)を担保とするため、法定通貨担保型と比べると、比較的に安定化を実現するのが難しいと言われています。
実際に過去に、価格の維持に失敗した仮想通貨担保型のステーブルコインはありました。このように実現するのが難しいこともあり、現在市場に流通している仮想通貨担保型のステーブルコインは多くありません。
仮想通貨担保型の代表例として、ダイ(DAI)が挙げられます。ダイ(DAI)もそうなのですが、ほとんどの仮想通貨担保型の構成割合に占めるのが、取引高が大きく、比較的信頼感のある「イーサリアム(ETH)」となります。
このようにイーサリアムのような主流な暗号資産(仮想通貨)の構成比率を高めることで、価値を安定させています。
無担保型
最後三つ目は「無担保型」です。
無担保型は、その名のとおり法定通貨や暗号資産(仮想通貨)といった通貨を担保とせず、価値の安定を図るよう設計された仕組みとなります。
この仕組みが非常に難しいと言われていて、担保とする指標がないため、アルゴリズムによって決めなければなりません。つまり、発行主体が市場の需要と供給を常にチェックし、供給量を調整する必要があります。
このアルゴリズムを開発し、アルゴリズムが自動的に供給量を調整することを目的としているため、別名「アルゴリズム型」とも言われています。
無担保型の代表例として、ベーシス(BAS)が挙げられます。無担保型は、ほかの2つと比較すると、事例が少なく、実用化もほとんど行われていないのが現状です。
日本円担保型のステーブルコイン3つの紹介
ここらは、法定通貨担保型である「日本円担保型のステーブルコイン」を3つ紹介します。紹介するのは、以下の3つとなります。
- GYEN:GMOが発行
- MUFG:三菱UFJが発行
- JPYC:日本暗号資産市場が発行
日本円担保型のステーブルコインではありますが、日本国内ではステーブルコインの法整備がされていないため、購入することができません。
それを踏まえたうえで、それぞれ一つずつ見ていきましょう。
GYEN:GMOが発行
まず一つ目は「GYEN」です。
こちらは、GMOインターネットが発行する日本円に連動したステーブルコインとなります。2020年12月にニューヨーク州銀行法で発行承認を得た、世界で初めての日本円担保型ステーブルコインです。
GMOは暗号資産(仮想通貨)へいろいろとチャレンジをしている企業で、国内でも「GMOコイン」という取引所を運営しています。しかし、日本の法整備がなかなか進まないことから、近年は海外での事業展開が目立つ傾向にあります。
MUFG:三菱UFJが発行
二つ目は「MUFG」です。
こちらは、三菱UFJフィナンシャルグループが発行する日本円に連動したステーブルコインとなります。
元々は、自社で発行するステーブルコインとして活用させる計画だったようですが、現在は他社でも簡単に独自のステーブルコインが発行できるようにするプラットフォーム型の構想に方向転換しています。
将来的には、ホットペッパーグルメの加盟店で、支払いや日本円の換金、個人間の送金といった様々な場面で利用できるよう計画しているようです。
JPYC:日本暗号資産市場が発行
最後三つ目は「JPYC」です。
こちらは、日本暗号資産市場が発行する日本円に連動したステーブルコインとなります。イーサリアムの共通規格ERC⁻20を使って発行されています。
JPYCは資産決済法上、暗号資産(仮想通貨)ではありませんが、ERC⁻20を使って発行されているため、イーサリアム上で利用することは可能です。
日本暗号資産市場では、このほかにも「ICB(イチバ)」と呼ばれるステーブルコインを発行しています。日本暗号資産市場は、JPYCを一般個人向けに、ICBを事業者向けに提供して展開しています。
ステーブルコインの特徴
では、続きましてステーブルコインの特徴を、以下の3つに分けて紹介します。
- 価格が安定している
- 資産防衛に向いている
- 国家を超えた法定通貨の代替機能実現
それぞれ一つずつ見ていきましょう。
価格が安定している
まず一つ目は「価格が安定している」です。
こちらは、これまでに何度か出てきていますが、ステーブルコイン一番のメリットである、価格が安定していることになります。
ビットコインやイーサリアムのような暗号資産(仮想通貨)の大きな課題であった、価格の不安定さをステーブルコインは解決してくれました。価格が安定しているということで、ユーザーは、個人間での送金や決済手段として、安心して利用しやすくなります。
資産防衛に向いている
二つ目は「資産防衛に向いている」です。
投資をしていく上で、資産を増やすことより、いかに資産を守るかが大切となってきます。その点において、ステーブルコインは、その一つの選択肢となります。
暗号資産(仮想通貨)は、頻繁に暴落しますが、そのときにビットコインなどを、あらかじめステーブルコインへ換えておけば、大きな傷を受けなくてすむことが可能になります。
あらかじめ暴落を予想することは難しいかもしれませんが、一度暴落の予兆を感じた時に、真っ先に動ける選択肢を持っておくだけでも、違います。ステーブルコインを投資対象としてではなく、資産の防衛先として見方を変えておくといいかもしれません。
国家を超えた法定通貨の代替機能実現
最後三つ目は「国家を超えた法定通貨の代替機能実現」です。
国を超えて通貨を利用する場合、法定通貨ならば、当然両替が必要となります。しかし、ステーブルコインのような暗号資産(仮想通貨)なら、国家関係なく、通貨として世界中どこでも利用することができます。
つまり、アメリカに旅行する場合、いちいち日本円を米ドルに両替しなくても、ステーブルコインのような暗号資産(仮想通貨)を保有していればいいということです。
また、現在海外送金では「SWIFT決済」が主流となっていますが、非常に時間がかかることが難点となっています。最短でも着金までに数日かかると言われています。
しかし、その問題はステーブルコインを利用することで簡単に解決します。ステーブルコインなら、短時間での決済が可能となりますし、ユーザー同士なら、またさらに時間が短縮できます。さらに、世界中どこからでも利用できるのが魅力となっています。
ステーブルコインの課題と将来性
では最後にステーブルコインの課題と将来性を解説していきます。
ステーブルコインにおいて、課題はいくつかありますが、その一つとして「規制が不明確」な点が挙げられます。
世界的に普及してきたステーブルコインですが、日本での法整備が進んでいないことや、また世界的にも法の規制が追いついていないのが現状です。規制が不明確なため、国や政府も口出しできず、なかなか一歩先へ進んでいません。
しかし、その一方で、今回解説してきましたとおり、ステーブルコインは、ほかの暗号資産(仮想通貨)にはない、大きな可能性を秘めた通貨とも言えます。そのため、多くの企業や人が期待を寄せていて、ここまで注目を集めていると言えるでしょう。
暗号資産(仮想通貨)市場自体が、まだ歴史の浅い金融分野ですから、ステーブルコインも今後ますます課題を解決しながら、発展してくことが考えられます。ひとまずは、規制を明確にするような、法の整備が今後の鍵となりそうです。
まとめ
今回は、ステーブルコインの基本情報や種類・特徴、そして今後の将来性を初心者に向けて分かりやすく紹介してきました。
ステーブルコインについて、まとめていきます。
- 価値が安定するよう設計されているため資産防衛に向いている。
- 「法定通貨担保型」「仮想通貨担保型」「無担保型」の3種類に分けられる。
- 国家を超えた法定通貨の代替機能実現を目指している。
- 規制が不明確といった課題を抱えている。
- 今後の法整備によって、将来性が変わってくる。
価格が安定しているという魅力を持ったステーブルコインですが、まだまだ世界的に法の整備が進んでおらず、特に日本では普及していないのが現状です。
歴史の浅い暗号資産(仮想通貨)市場ですから、今後もステーブルコイン含め、様々な動向をチェックしながら、常に注意を払っておくといいでしょう。
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